クリケットのルール、変わるってよ(その1)
17年ぶりの変更
ちなみに前回の変更は2000年。実に17年ぶりの変更となります。
2003年、2008年、2010年、2013年、2015年にも改正されていたそうなのですが無知な私には改正と変更の違いがわかりません。
ルールってそもそも何よ?
実はクリケットのルール(競技規則)ってクリケットの国際統括団体(International Cricket Council)が制定していないんです。
クリケットの競技規則は統括団体でもない国でもない、イギリスの1クラブであるマリルボン・クリケットクラブ(MCC)によって制定され、現在に至るまで改正・管理を続けています。
このMCCによって制定された競技規則、「Laws of Cricket」を基本とし、形式や各リーグごとの競技規則やローカルルールが適用される仕組みになっています。
今回17年ぶりとあって変更内容はかなり多く、ざっと目を通したところ
- プレイヤーの安全
- ビデオ判定への対応
- スポーツマンシップ
以上3点が特に重要視されています。
でも俺ビデオ判定と縁無いし…
ごもっとも。
幸いにも筆者はこれまで国際試合のフォロワー、プレイヤー、アンパイア、運営と一通りの立場を経験しているので、一般のプレイヤーに関係があるものとないものに分けて紹介します。
前回と違ってかなりプレイヤー寄りの記事になるので無理して読まないでください。
それではまず、
一般のプレイヤーに関係があるもの
コート関係
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ヘルメットが身体の一部に。
今まではバッツマンが打った球が最初にフィールダーのヘルメットに当たりその後キャッチされた場合アウトではありませんでした。現代のクリケットではヘルメット着用が必須のリーグが増えたため、ヘルメットを身体の一部とみなす事になりました。これによって前述のケースではバッツマンがアウトになります。
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空中でのキャッチはバウンダリー内から
バウンダリーの外側からジャンプして空中でボールに触るとシックスになります。また、内側からジャンプしても外側に出ているフィールダーや障害物に触るとシックスです。
ランアウト関係
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マンカドOK!むしろ推奨!
出たよ…専門用語わかんないよ…と思いました?
これがマンカドです。
ボーラーがボールを投げる(リリースする)までノンストライカーをランアウトに出来ると明文化。また、ルールのタイトルを変更して、マンカドされるのはバッツマンの方が悪いというニュアンスに。
今までは慣例として動画のようにマンカド前に何回かノンストライカーを注意して、それでもマンカドせずに正々堂々とアウトを取るべきと言われていましたが、今回の変更で、不正なリードを取ってズルしてるのはむしろバッツマンなので当然アウト、との解釈に。
要は野球で言うところの牽制死なのでそりゃそうだなと。日本の試合でアンパイアしていても、学生や女子でリードを取るのが早い選手が多いです。今後はお互い気を付けましょう。
フィールディング関係
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フィールダーが守備中にバッツマンを騙したらペナルティ
元々スポーツマンシップに反する行為でしたが今回からペナルティが明文化。投げたふりやとったふり、反らしたふりをしてバッツマンを騙したら即時ペナルティ5ランとなります。
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交代選手もキーパー可能
キーパー未経験がやったら危ないだろうということで。交代で入ってきた選手もキーパーOK。
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交代で下がった選手にペナルティタイム導入
フィールディング中に交代してグラウンドの外に出たら、次にまた入ってきた際、外に出ていた時間と同じ間バッティングまたはボーリングが出来ません。つまりフィールディングの終盤でオープニングバッツマンを外に出して休ませると攻守交替時にそのバッツマンはオープニングで出られません。
ノーボール関係
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ボーラーが故意にクリースを越えてノーボールを投げたらペナルティ
あれ?ノーボール自体既にペナルティじゃないの? と思ったあなた。
こちらをご覧ください。
下手すりゃ死ぬ。
こういった場合アンパイアの判断でボーラーを即時退場させることができます。真似しちゃダメですよ。
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ボールが2回以上弾んだらノーボール
下手投げが禁止された現代クリケットでは故意でも無い限り2回以上弾まないだろうということで、3回以上から2回以上に短縮されました。要は1回しかバウンドさせちゃいかんということですね。
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ボールがピッチの角に当たる、または外に弾んだらノーボール
以前はワイドだったりしましたが明文化。
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ノーボール+バイ=ノーボール+バイ
そうなんです、以前はノーボールをキーバーが後ろにそらしてバウンダリーまで行ってしまった場合ノーボール5つがボーラーについていたのですが、それはボーラー責任じゃないだろということでノーボール+バイまたはレッグバイとしてスコアがつきます。
バッティング関係
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バットにサイズ制限
現代クリケットはバッツマン有利とされており、ボーラー救済のため今まであった幅の制限に加え、厚さ(67ミリ)とエッジ部分の厚さ(40ミリ)の制限が新たに加えられた。
エッジ部分が厚いバットの有効性を科学的に調査したところ、同じ重さのバット同士を比較した場合、両方とも真芯の反発係数は変わらなかった。しかし材料の木をより乾燥させてエッジを厚くしたバットは通常より芯の面積が2倍以上増えることがわかったため。
バットマニアのために補足すると、エッジが厚くなることによって中央から外れた部分にボールが当たってもバットが回転しにくくなる→芯を外しても飛ぶ!という仕組み。デメリットはバットの重心が下がるのでより振りにくくなるが、週5でジムに通ってる現代バッツマンには問題になりません。また、容積をかさ上げするために乾燥させられたバットは短命で、プロは年間20~40本バットを消費します。
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プロテクテッドエリア内で構えちゃダメ
文字通り。でも普通に構えて、その後前に出て打つのは今までと同じくOK。
その2(一般プレイヤーにあまり関係ないもの)に続く…